前年に引き続き、今年も札幌国際スキー場までのMTB&スキーツアーに行って来ました!トレーニングのつもりだったので、
山中泊に必要な道具を一式詰め込んで、推定20kgのザックを背負って走った(体重計がないので正確には分からない)。
冬の朝里峠を越えたことがなかったので、今回は行きに朝里ルート、帰りに定山渓ルートでチャレンジした。
所持金は530円しかないため、持参したおにぎり3個と2リットルの水、ホットコーヒー、スニッカーズだけで頑張るしかない。
ビンボー学生のアホ行動の典型だ。写真アルバムへ
朝4:00起床。4:30出発の予定が、TVをつけるとスペースシャトル墜落のニュース。しばしTVにくぎ付けになり、出発は 40分遅れの5:10。早朝の新川通りは交通量も少なく、車道を快走。街灯に映し出された自分の影が、異様な感じだ。 Dakineのザックのスキー積載方法は両スキーをまとめて斜めに付けるため、長い槍を背負っているようなシルエットになるのだが、 スキーがヘルメットや後輪に接触しないので快適。気温は-3℃、無風、曇りという天気。
新川通りは街灯が明るいためLEDライトのみで走っていたが、R337に入るとほとんど街灯が無く、15Wのハロゲンライトを点灯した。 しかし!なんと、点灯から10分もしないうちに電池切れ。充電し忘れたらしい。こうなると、ハロゲンライトと充電池は無用の長物(重物?)。 仕方がないので、時々トラックから落ちたらしい氷の塊が突然目の前に現れる中を、薄暗いLEDライトでこわごわ走行した。 何とか無事に銭函到着したころ、やっと辺りが薄青く見えるようになってきた。
ここから朝里まで、張碓峠という小さな峠がある。ロードレーサーなら、20km/hでスイスイ登れる程のゆるい峠だが、 「重い荷物+MTB+雪道」という悪条件がそろっているので、非常につらい。スピードは10km/hを保つことすらできなかったため、 「こんな調子で、朝里峠は登り切れるだろうか?」と、ちょっと不安になったが、ここまで来たらもう引き返せない。 朝里には7:15に到着。
ここから朝里川温泉を過ぎて、ダム手前のループに差し掛かると、前方に車の列が見えた。「こんな所で渋滞?」と思っていたら、 夜間通行止めのゲートがまだ開いていないのだ。定山渓側のゲートは7:00に開くのを知っていたので同じだろうと思っていたら、 朝里側は8:00だったのだ。時計を見ると7:58、まもなく車から職員が降りてきて、すぐにゲートが開いた。40分遅れだった出発時間が 功を奏したのだ。「ラッキ〜!!」と思いながら、朝里峠の登り坂に挑み始めた。
重い荷物のせいで、サドルに腰を下ろすのがつらくなってきたので、立ちこぎを多用していると、太ももの筋肉がピクピク痙攣 し始めた。ダム湖を過ぎた所で小休止。この先、斜度12%長さ約500mの難所があるが、これまでも6km/hぐらいしか 出せないのに、どうなることやら。余力を残しながらゆっくり登り続けて、その難所はフルパワーで何とか乗り切ったが、 再び筋肉が痙攣し始めたのでMTBを降りようと思ったら、路面が凍っていて足を滑べらせ転倒。情けない。
小休止のあと、峠までは無休憩で登り切ったが、到着時間は10:00。夏道なら1時間かからない峠なのに、2時間もかかってしまった。 峠に着いて初めて自分が空腹なのに気付いた。というのも、朝から何も食べていないのだ。ここから国際スキー場までは 下りなので、到着まで我慢することにした。10:10スキー場到着。出発が遅れたのは予定外だが、家を出発してから 5時間での到着は予定通りだ。MTBは駐車場の管理小屋に預けて、ひとまずレストランで持参のおにぎりを食べて休憩。
10:30、大型バス駐車場の奥の斜面から入山。シールを付けていないので、30°くらいの急斜面をひたすらジグを切って登るが、
木の密度が濃いため、10mも進まずに行き詰まる。このような所でキックターンするには、僕の短いスキーが有効だ。登り切ると、
思いがけず、だだっ広いオープンバーンが出現した。斜度は20°くらいなので、滑りはつまらないだろう。この斜面を
上り詰めるとメルヘンコースが見えてきたので、恐らくこの斜面はコースにする計画で木を切ったのだろう。
その後、コースを避けて北東へ進むと、前回迷い込んだダケカンバの植林帯にぶつかった。この植林帯のふちを北西に進むと、 ダケカンバとエゾマツの巨木が競うように背を伸ばしている、いい感じの原生林に入った。スキー場の放送と、遠くから聞こえる スノーモービルの騒音が興ざめだが、とにかく雰囲気は最高だ。13:00、今日はここで時間切れ。エゾマツの下でおにぎりを食べて、 下山開始。ほぼ同じルートで駐車場まで引き返し、レストランで最後のおにぎり+スニッカーズを食べて、帰りのMTBライディングに 備えた。
14:40、スキー場を出発。気温が0℃近くまで上がっていて、道路の雪はグシャグシャ。跳ね上げた雪がMTBにくっつく。 しかし、やはり下りは断然ラクだ。軽くこぐだけで20km/h以上を保てる。思ったよりも早く定山渓に到着R230に入ると、 利用者がいるとは思えない歩道がなぜかきれいに除雪されていたので、有り難く歩道を走ることにした。簾舞と藤野の間に 唯一の登り坂があるが、難なくクリア。筋肉が攣りそうな気配はない。短時間に回復したのか、疲れ過ぎていて麻痺しているのか? 恐らく後者だろう。その後、歩道を走り続けて自宅到着は18:30。予定していた通り、約4時間での到着だ。 暖かいシャワーを浴びたとたん、ものすごい眠気に誘われてぐっすり眠りに就いた…。
今回は雪の状態も天気もよく、絶好のMTBテレ日和だった。もし-10℃以下だったら、もし吹雪いていたら、もし除雪されていなかったら、 と考えると、この計画はよほど条件に恵まれた日でないと実現不可能であることが分かる。今回、13時間の行動時間の中で、 MTB:スキー=9:4であったが、天候状態によって、行き、帰りとも1時間ずつ余計に時間がかかったとしたら、MTB:スキー=11:2に なってしまう。これでは、わざわざスキーを担いで行く意味がないだろう。また、条件のいい日を見つけたら、チャレンジしたい。
スキー場到着は10:30頃。入山届を出し、自転車を駐車場で預かってもらってゴンドラに乗車。まず、いつもの尾根を目指す。
この日は大量の黄砂が降ったばかりで、雪は見事に茶色に染まり、見るからにみすぼらしい。雪はザラメで歩きやすいが、
滑る方は難しい。一度、沢伝いにスキー場下まで降りて、再びゴンドラに乗車して山頂へ。時間はまだ午後2時頃だ。
宿泊地はキロロスキー場近辺にしようと思っているので、まだまだ時間がある。とりあえず、キロロ長峰方面を目指すことにした。
尾根が狭くなり、スキーで歩くのが苦しくなってきたところで、斜面を降りて長峰コースの中腹に合流し、ゲレンデを降りた。
キロロではリフトに1本乗ろうと思っていたが、営業が終了していたため、仕方なくコース上を足で登り始めた。 お客さんの居なくなったゲレンデには雪上車が稼動し始めたので、コース外に出て宿泊地を探す。 薪を燃やして料理をするため、枯れ木が近くにある平らなところがいい。日没の頃、ちょうどいい場所が見付かって、 テントを張り、薪を取り、ネイチャーストーブで火を起こして料理開始。いつものように雑炊を作った。真っ暗闇だが、 遠くの方から圧雪車の音が聞こえている。焚き火をして暖を取りながら、その日一日の余韻に浸る。都会の生活では 味わえない、特別な感覚だ。そして、明日のことに思いを馳せながら眠りについた。
翌朝は6時過ぎに目を覚ました。気温は-1℃、青空が広がっている。風もなく、春らしい暖かな朝だ。テントをたたみ、 7時頃出発。夏の登山道をたどって飛行場まで上がろうと試みるが、ザラメの表面が凍っていてスキーのウロコが効かず、 シールを貼って急斜面を登坂した。8時過ぎに平らな台地にたどり着くと、朝日を浴びた雪面は既に解け始めており、 シールを外して飛行場を横断した。以前から目を付けていた尾根の突端まで行くと、余市岳、札幌岳、天狗岳、白井岳などが 見渡すことができた。余市岳は東斜面の方が多く黄砂が降り積もったらしく、茶色になっていた。西風に乗ってやってきた 黄砂は東斜面に多く積もったようだ。
尾根から降りる斜面は斜度が30〜35°なので降雪期には雪崩の危険が高くて近寄れないが、今は全層雪崩だけを気を付ければよい。 斜面に亀裂が入っていないことを確認して滑降開始。黄砂でまだら模様になった斜面を一気に滑り降りた。沢に降りると 既に水がチョロチョロ流れ始めており、気温も既に5℃を越えて上昇している。今年は春が早い!
沢を横切ったのちは斜面をトラバースしながら徐々に標高を上げ、白井岳の手前のコルを目指した。硬い雪の表面が程よく解けて、 ウロコ板で歩くのには最適の雪質だ。登りは全く苦にならない。日差しも暖かく、いつまでも歩き続けていたいような気分だった。 コルに到着したのが9時頃だ。国際スキー場の方からようやく活動の音が聞こえてきた。何か、懐かしいような感じだった。 コルを越えたあと、白井岳には向かわずに、そのまま中腹の沼の方を目指した。沼を通過したあとは、いつもの沢伝いに 国際スキー場の駐車場に10時頃にたどり着いた。
朝御飯を食べていなかったので、レストランで腹ごしらえをしたあと昼前にスキー場をMTBで出発。暖かい春の日差しの中、 家までのサイクリングを楽しんだ。
まず、地図を眺めてコースを選定。標高1000m位の山を地図上で探した。Portlandでは電車(TRIMET)にMTBを そのまま持ち込むことができるので、郊外までは電車で行くことにした。終着駅は西がHillsboro、東がGresham。 GreshamからだとMt.Hood方面へ近いが、Hillsboroから今回の目的地Round Topの方が近いし、山深くないので 道に迷っても下りやすそうだ。ただし、近いとはいっても片道約50km。初めての道だし、どんな冒険になるやら、 ワクワクする。
決行当日は快晴。いい旅になりそうだ。Hillsboroから順調に舗装路を快走し、川沿いに山奥へと入っていく。 想像していたよりも、はるかに山深い。GlenwoodでGales Creek RDからTimber RDへ右折。小さな峠を越え、 線路を渡るとTimberに到着だ。ここを左折して、いよいよ本格的な山道へと入る。道路もすぐに砂利道になった(写真1)。 しばらくして、Bell Camp RDへ左折すると針葉樹が生い茂った薄暗い山道だ。途中で車を停めて話している2人の 男に会った。拙い英語で話し掛けてみると、どうやら林業関係の人らしく、地図を広げて「ここに新しいトレイルが できたから、行ってみるといい。」と教えてくれた。郷に入っては郷に従えだ、行ってみることにした。
その場所に向かってさらに山道を登っていくと、視界がパーッと開けて山々を見渡すことができた(写真2)。 所々、植林の痕があるのは日本の山と同じだが、とにかく針葉樹ばかりだ。日本では広葉樹を伐採して 針葉樹を植えることによる生態系の破壊が問題となって、今では混交林を目指した林業が見直されているが、 この辺りでは元々針葉樹林なのだろう。針葉樹の山々がこの風景に調和しているような気がする。
さらに登ると、道の脇にピンクのテープを発見した。それが新しいトレールの入り口のサインだった(写真3)。 道幅は約50cm。日本なら、このあと階段とか岩場とか、渡渉があるような普通の登山道にしか見えない。 大丈夫だろうか?と思いながらも、そのトレールへと入っていった。良く踏み固められたトレールは 針葉樹林を縫うようにして進み、緩やかだった下りが次第に急になっていった。そして、とうとう崖のような 所に差し掛かった。トレールは2回スイッチバックして下へ降りているが、そのスイッチバックを踏み外したら 10mくらい転落する。道幅は30cm程度しかなく、MTBを押すことすらできない。テクニックが身に付いた今なら 何とか乗ったまま行けると思うが、当時はMTB初心者だ。こんなところで怪我をして動けなくなったら、 誰かが通り掛かるまで何日も待たなければならないだろう。まさに命懸けの下りだ。直線区間はMTBに乗って行き、 スイッチバックでは降りて向きを変えるという方法を選択した。この崖を何とか下り切ると緊張感も解け、 しばらく山深い森の雰囲気(写真4)を堪能しながらのライディングを楽しんだ。人の手が入っているのは確かだが、 倒木は放置され、木の根元付近は苔が付き、自然林のような雰囲気だ(写真5)。こんな中を、MTBで走れるような トレールが整備されていることに羨ましさを感じた。
そのあと、沢が狭くなってきて、トレールがアップダウンを繰り返すようになり、再び危険なライディングが始まった。 崖をトラバースするところでは、踏み外せば20mしたの沢に転落だ(写真6)。道幅は例によって50cm程しかなく、、 トレール上には木の根や石が転がっているため、20cm以下のすき間にタイヤを通さなければいけないところもある。 また、沢を渡る橋は片側に手摺りのついた丸太を1本渡しただけだ(写真7)。MTBは後輪で立てて、ハンドルをつかんで 前に進むしかない。MTBがほとんど初めてなのに、こんな下りに来てしまったことを後悔したが、仕方がない。 「怖い」なんて思っている暇があったら、「次はどうするか」を考えなければ、命を落とすかもしれない。「怖い」と思えば ハンドルさばきにも影響が出て、ミスしやすくなる。とにかく、目の前にある状況を打破することに専念した。
そして、トレールに入って約3時間後、緊張しながら崖をトラバースしている最中に、遠くに車のエンジン音が聞こえてきて、 終点が近いことが分かった。最後の最後で緊張感が解けてミスしないように、とにかく路面に集中して下り切った(写真8)。 トレイルヘッドにあるキャンプ場で一休みしながら、トレールでの3時間を振り返って見ると、まず、よく生きて帰ってこれた という安堵感と、それから、なんとも言えない充実感とともに開放感を覚えた。「また来よう。今度はもっとうまくなってから」 と心に誓って、帰途についた。
張碓まではR5をのんびりとMTBで走り、張碓の大カーブを直進する脇道へと入る。林道の入り口
までは、幾つか住宅があって分岐も多く迷いやすいが、張碓川へ下りる分岐(A)までたどり着けば
あとは分かりやすい。林道のゲートには早速「熊出没注意」が。川を渡ってすぐに登りが始まり、
600m程で左に細い分岐があるが(B)、草に覆われていて走れる状態ではないので直進。ここから
500m程の短い下りがあるが、再び張碓川を渡ってからはひたすら登る。途中、砂利の急登坂は
半端じゃないほど急だ。自転車を押さなければ登れないところもある。最後のつづら折り付近(C)
では視界も開け、これから行く尾根も見えてきた。あそこに立てば見晴らしは良さそうだ。
勾配も緩くなってきて、T字路にぶつかった(D)。右に行くのがコースだが、左の行き止まりまでは
遠くないので、ちょっと偵察してくることにした。植林のための道らしく、ブルも通れるような広く
走りやすい道だ。そして、地図の通り途中で道は途切れたが、歩いて行ける作業道は何本か
あった。恐らく、藪こぎをすれば裏側から春香山に登れるだろう。ここでしばらく休憩したのち、
引き返した。
先程のT字路(D)から約3.5kmの間は左に白樺の疎林、右側には日本海が望めるスカイラインだ。
一旦開けた場所(F)に出て、道が左右に分岐したが、そのような分岐は地図には載っていない。
右の道は日本海側に下っていく道なので、進路を左に取った。道はすぐに快適な下りになり、
約2kmで次のT字路にぶつかった(G)。右に曲がると朝里峠に出るが、舗装道路は走りたくない
ので左折。このとき、ポツッと雨粒が落ち始めた。余市岳の方は完全にかすんで見えないし、
風も出てきた。もうまもなく雨が降り出すだろう。緩やかな登りを700m程登るとすぐに道は下り
となり、送電線と交わるところ(H)で左に曲がるが、入り口が分かりにくいので注意。ここから、
急な下りになるが、いよいよ藪こぎの始まりだ。両側の草木が生い茂っていて走りにくい。
折角の下りなのに、まともに乗ることができない。おまけに、雨が音を立てて激しく降り出してきた。
暖かいので濡れても木にならないが、汗混じりの雫が目に入るのがつらい。遠くでは雷も
鳴っている。それでもなんとか下り切ると、T字路にぶつかり(I)、右に曲がった。ここもやはり
背丈以上の草木に覆われた山道で、10km/hで進むのがやっとだ。枝葉が目に入らないように
サングラスは必要だが、レンズに付いた水滴のせいで視界が悪い。だが、こればかりは
どうしようもないね。そんなことで、春香山雨量観測所(J)までのたった2kmが、はるか遠くに
感じられた。雨量観測所(J)に到着するまでの間に激しい雨は弱まり、視界は開けた。ここから
銀嶺荘へ向かう道のりは車も走れる整備された林道だ。分岐ごとに標識も出ている(K)。
「銀嶺荘右折」の標識のある分岐(L)に到達し、右折するとアップダウンを何回か繰り返したあと、
2km程で銀嶺荘(M)に辿り着いた。
銀嶺荘から銭函峠に向かう細い登山道に入っていくと、先程の通り雨のせいで道がぬかるんで
木の根も滑りやすくタイヤを取られるが、やや下りのためほとんど乗ったまま銭函峠に到達した。
左折すると下りは本格的になり、幾つかのスイッチバックのあと、中央が深くえぐられた急坂
に到達した。ここを自転車に乗ったまま下るのは不可能だ。雨で足場が滑りやすく、自転車を
押して下るのすら難しい。そのまま1km程下ると言うより滑り落ちると、急に視界が開け平らな
ところに出る。そこから道は2本に分岐するが、右を下ることにした。標高約700mからの景色は
最高で、ついついよそ見をしたくなってしまうが、林道には大き目の石も転がっているので
そう簡単にはよそ見はできない。しばらく下ると沢沿いに出るが、侵食によってえぐられて
道幅は30cm程しか残っていない。その横は2m下に岩がむき出しの沢だ。しかも雨で滑りやすい。
ヒヤヒヤしながらゆっくりと通り過ぎるが、案の定、一度バランスを崩して沢に落下した。
タイヤが石の上でスリップして、バランスを崩して自転車が倒れ始めたところで、「このままじゃ
頭から落ちる」と思ったので、思い切って自分から沢の方へ飛び降りた。弁慶の泣き所を
打ったのは痛かったが、頭から落ちなかったのは幸いだった。何とか事無きを得て、この
危険地帯を通り抜けると太い林道にぶつかり、左に下ってゴールだ。
いつか行こうと思っていたのだが、最近「刈り分けされた」という噂を聞いて、思い立つように行ってきた。
全行程MTB(Specialized EnduroFSR)を利用(というか、携行)キャンプ装備は夏装備に毛の生えた程度。
3シーズン羽毛シュラフと3シーズンビバーク用テントである。
思い立ったのが、26日AM11時。それから準備を始めて家を出たのがPM1:00を過ぎていた。で、登山口である
右股川のゲートに到着したのがPM3時少し前。日が暮れる5時まではあと約2時間だ。白井小屋までは普通の
林道なので40分程で到着した。ここで少し迷った。「白井小屋に行って泊まるか、山の中でテント泊するか」。
しかし、山屋の中にはMTBを極端に嫌う者も少なくないと聞く。結局後者を選び、テントを張れそうな場所を
探しながら、刈り分けられた登山道へと入っていった。
地形図を見る限り、それほどきつい登りは無いはずなのだが、やはりほとんど乗車できるところはない。
押しと担ぎの連続だ。途中何箇所かテントを張れそうな場所を見つけたが、932mピークを過ぎた辺りに平らな
地形がありそうなので、見送って先に進んだ。932ピーク通過が5時ちょっと前で、すでにかなり薄暗い。50m程
下って例の平らな区間に入ったが、背丈の笹が生い茂りテントを張れそうな場所は全く見付からない。結局
そのまま平らな区間を通り過ぎて、次の登りに入ってしまった。時間は5時半。足元が見え難くなってきた。
そろそろ寝床を見つけなければ…。何箇所かテント場を見過ごしてきたのを後悔するが、引き返す時間はない。
その時、やっと見つけた。登山道が1m程幅広になっている部分(写真1)があった。わずかに斜めに傾いているが、贅沢は言っていられない。 先には丸太で小さい沢を渡るところがあり、よ〜く観察したが、熊が通った形跡はない。「大丈夫だ(ろう)」と自分を言い聞かせる。 慣れたテントなので手元さえ照らせば真っ暗な中でもテントは5分程で立てられる。 テントを立て終わったら、すぐに火起こしだ。薪は一晩分を持参したので、火起こしは楽だった。山で拾った薪は 大抵しけっているので、火が安定するまでが大変だ。しかし、今日は風がない。有り過ぎても困るが、全く 無いのも困る。仕方がないのでうちわで扇ぎ続けて火を保った。晩御飯は、ある自衛官の方から頂いた携行食に した。一応、米も持ってきたが、今日の弱い火力では炊けないと判断したからだ。フランクフルト4本を箸に 刺して火にあぶり、コップでお湯を沸かしたワカメスープが晩御飯。8時には火も下火になり、薪も予備の1本を残して 使い切ったので、早々に寝ることにした。この時点で外気温は1℃。夜中には氷点下になるだろう。
寝袋に入るが、一つ問題が発生した。床の傾きが予想以上に大きく、ちょっと油断すると右へ滑り落ちていく。 いまさらテントを張り直したくないし、無意識に寝返りをうたないために一定時間ごとに起きることにした。これは 自分が考え出した方法だが、わざと腕が痺れるようにすると一定時間毎に確実に目が覚めるのだ。最初に目を 覚ました時、雨がポツポツとテントに当っているのを耳にした。次に目を覚ました時にはバラバラと音を立てている。 嫌な予感がした。夜が更けるとともに雨は強くなり、11時頃には風も出て来て、土砂降りに近い状態になった。 やはり、テントの中には浸水が始まっていた。右に傾いたテントの下側には水溜りができ始め、寝返りすると 寝袋が水溜りの中に落ちるのだ。寝袋は既にしっとりと水分を含んで保温性が低下している。これまでで 一番辛い夜になった。20〜30分毎に目を覚まし、まだ自分が生きていることを確認し、また短い眠りにつくのを 数え切れないほど繰り返した。もう、熊の怖さなど忘れていた。
翌朝5時頃に目を覚ました時には雨は上がっていたが、上空の風が強いらしく、山鳴りのようなドーンという風音が 遠くから響いていた。最後に目を覚ましたのが6時だ。その強風が降りてきていて、テントが風で揺らされている。 幸い、思ったほど冷たい風ではない。窓を開けて外をのぞくと、空は青空だ。「よかった、雪が積もらなくて…」。 テントを抜け出し、朝の空気を浴びる。気持ちのいい朝だ。気温は-2℃。霜(写真2)が降りていたが凍て付くほどではない。余市岳も正面にくっきりと見える (写真3)。日の出も遠くはないし、早いとこ出発しようと決意し、 テントを畳もうとするが指先がかじかみ、なかなかはかどらない。テントをひっくり返すと溜まった水がジャーッと流れ出てきた。 1リットルはゆうに越しているだろう。寝袋も湿ったせいでペッチャンコになっていたが、かえって畳みやすかった。
AM6:30、山親父に存在をアピールするために、「ウァオー」と一声を張り上げてから出発。地図の読みが正しければ 1239mのコルまでは約2kmで、標高差240m。それほどきつい登りではないはずだ。ところが、予想は大きく外れた。 さすがに登山道だ。そう簡単にMTBを通らせてはくれない。岩+崖+沢のオンパレードだ(写真4)。押すことすらできず、担ぎと放り投げの繰り返しだ。雨で足元はズルズル。 昨日から節約して使っていた水もあっという間に底が尽き、沢の水を浄水器でろ過して飲んだ。約1時間かかって、 やっと小さな沼の横に到達した(写真5)。あとは斜面を トラバース気味に登っていくだけだ(写真6)。余市岳は 目前で朝日に輝いている。力を振り絞って1239コルに到着したのがAM8:15であった。(写真7)
「さて、どうしようか。登ってみようか、余市岳。無理なら引き返すし…」という軽い気持ちで余市岳を登ることにした。 MTBは1239コルに放置し、身軽にして登山開始。すぐに登山道は雪に覆われた(写真8)。冬に一度登っているが、夏(ほとんど冬?)は初めてだ。どんな道のりか全く知らないが、 「有名な山だから迷うことはないだろう」と登っていると、沢に遭遇(写真9)。 他に歩けるような道もないので、仕方なく沢登りを始めた。水の中に足を入れたくないが、頭を出している 石の上は凍っていてツルツル。非常に難しい登りだったが、AM9:15に何とか山頂に立った(写真10)。朝から何も食べていないので、空腹感を覚え、たくあんと魚の干物を少しむしって食べ、 AM9:25には下山開始。途中で喉が渇き、再び沢の水を浄水器を通して飲んだ。やはり、浄水器は必需品だ。AM10:00に MTBのところまで戻ってきた。
ここからキロロ方面へは、一度50m程の急坂を登らなければならない(写真11)。何やら、遠くから人の声が聞こえる。登り切った辺りで、誰かとすれ違うだろう。 「MTBに対してフレンドリーな人だったらいいな」と期待しながら、休み休みMTBを担ぎ上げる。山麓までの登山道からキロロゴンドラへの 分かれ道のところで、10人近いグループに遭遇。いや、相手側から見て、まさに「遭遇」だろう。皆、驚いていた。でも、皆MTBに理解を 示してくれるいい人ばかりだった。コーヒー飴を1つもらい、出発。ここからゴンドラ頂上までのスカイラインが、今回の旅のメインイベントだ。 幅は車も走れるほど広いが、この時期はゴンドラが動いていないので歩行者がいる可能性はない。「気分最高!」これまでの全ての苦労なんて、 一気にどこかへ消えた。疲れも感じない。いつまでもこんな中を走り続けたい気分だった。
ゴンドラ山頂に到着したのはAM10:30頃だった(写真12、 写真13)。ここからは麓までロングダウンヒルだ。「作業道もあるが、 ゲレンデを走るというのもアリ?!」という感じで、一部ゲレンデを走りながら(写真14)麓まで20分程度であっけなく降りてしまった(スキーよりも速いかも)。ところがここで、 これまで保ってきた緊張感が一気に開放され、どっと疲労と眠気と空腹感が襲ってきた。これから札幌まで峠を含めて60kmの道のりがあるのだ。 まず、空腹を満たそうと、キロロの近くにある「ホピの丘」に立ち寄った。おじさんが色々なものを炭焼きにしている。寝不足+疲労状態で 糖質を取るのは禁物だ。一気に眠気が襲ってくる。こういう時はたんぱく質を取れば元気が出る。ぶっといソーセージ1本と照り焼きチキンを頬張るが、 そのうまさに涙が出そうになる。「生きててよかった」と…。その後、12時少し前に「ホピの丘」を出発し、よろよろと毛無峠を越え、普段の 1.5倍時間かかってPM3:30頃に札幌にたどり着いた。
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