ポケモン黒小説
ここから先にはポケモンの黒い小説があります。
ポケモンを虐待したりとか、そんな話です。
ポケモンが好きな人、その手の話が苦手な人にはできれば読んでもらいたくはありませんが
それでもいい、という方はどうぞ。
「ポケモン達がかわいそう」というのは十分に分かっているので
あまり非難した感想は欲しくないです。
その少年はとあるジムリーダーの子供として生まれた。名をダークと言った。赤い髪に黒い服がトレードマークだ。
ダークはポケモンを育てていた。小さくてかわいいヨーギラスだ。
ダークはジムのことなどどうでもよかった。ただヨーギラスと一緒にいるだけで幸せだった。
しかし、その幸せはある日崩れ去った。
ダークはポケモン勝負を挑まれた。つんつんとした赤い髪に紫の服を着た少年だった。
ダークは勝つ自信があった。予想通りヨーギラスは順調に勝ち続けた。勝負あった!ダークは勝ちを確信した。
しかし、相手の少年は次の瞬間二匹もポケモンをくりだした。
2対1でヨーギラスはあっという間に負けてしまった。二匹のポケモンに散々いたぶられた。
「卑怯だぞ!ポケモンを2匹も使うなんて!」ダークは相手に飛び掛る勢いで怒鳴った。
「勝負の世界は非情さ、勝てばいいんだ、まあ、運が悪かったんだな。あばよ。」
少年は去っていった。ダークはその背中を呆然ど見ていた。
ダークはボロボロになったヨーギラスを抱いた。
この時、ダークの心に邪悪な何かがうずまいた。
俺のかわいいヨーギラス、もうこんな無残な負け方はさせないからな。
そして俺のヨーギラスを傷つけたポケモン共、今に見ていろ!
ダークはヨーギラスを抱いたまま狂った様に笑い続けた。
それから5年が過ぎた。
大きな街ほどもある島はうっそうと茂る森に囲まれていた。その真ん中に赤いレンガの豪邸がそびえ立っていた。
ダークは豪華な装飾が施された広い部屋に、天蓋付きのふかふかのベッドで寝ていた。
外でオニスズメが一鳴きした。ダークはベッドから出るとグラスを掴み窓からオニスズメに向けて投げつけた。
グラスはオニスズメの羽をかすり地面で砕けた。
ちっ、当たらなかったか!ダークは飛び去ったオニスズメを不機嫌そうに睨み付けていた。
ダークは庭に出た。外では番犬のデルビルやガーディがうろついてた。
ダークはうとうととしていたガーディを蹴飛ばした。ギャン!ガーディはわめいた。
「何をさぼっている!しっかりと見張りをしろ!役立たずめ!お前の餌は抜きだ!」
まだキャンキャンわめいていているガーディを尻目に歩いたかと思うとダークは石を拾ってぶつけた。
「鳴くな!耳障りだ!」
ダークはすっかり変わってしまった。ポケモンへの憎しみを、ポケモンをいたぶり、こき使うことで晴らしているのである。
この豪邸は彼の父が基地として使っていたものだった。
ダークは父のことはあまり知らなかった。だがポケモンへの悪の心は父そっくりだということに彼は気づいていない。
ダークは家に入って二階の階段のすぐそばにある部屋へ行った。
そこから、巨大なバンギラスが出てきた。
そのバンギラスは見たことも無いほど大きく、どっしりとしていて、肌にはツヤがあり、そして残忍な顔つきだった。とてもあの時のヨーギラスとは思えなかった。
「おはよう、バンギラス、さあ、朝食にしようか。」
ダークはバンギラスだけは今もかわいがり続けた。バンギラスもダーク以外の者には凶暴だった。
ダークは食卓についた。使用人が次々と豪華な食事を運んでくる。
バンギラスの方にも餌が与えられた。普通の人間から見ればもったいないほどの内容だった。
使用人が二人がかりで運んでくる皿には、軽くあぶった肉、今取れたばかりのゆでた野菜、新鮮な魚、熟した木の実が一杯に盛られていた。皿と同じくらいの大きさの杯には絞りたてのミルクがたっぷりと入っている。バンギラスはこれを一日5食も平らげるのである。
ダークが優雅に肉のパイとスパイスの効いたスープを食べている横で、バンギラスはがつがつと餌を食した。
ダークはデザートのモモンとナナシのクリームのせを平らげ、ワインを飲み干し、口を拭うと部屋を後にした。
「おい!今日のデザートはいまいちだったぞ。どういうことだ!」
ダークは厨房に来ていた。料理人達はドキリとした。
「そ、それは・・・、ポケモン達が取ってくる木の実の質が落ちたからでございます。ダーク様。」
料理人はびくびくしながら答えた。
「ふん、奴らが悪いということか。まあいい、もしさぼっている奴がいたら餌も水も無しで休ませずに重労働させてやる。」
彼が責めべきなのは、人間ではなく ポケモンなのだ。 ダークは厨房を出た。その時ついでにビールの入った瓶を持っていった。
「ふうー、やっと出て行ってくれた。」
料理人は緊張が解けてほっとした。
「でもよ、俺達なんかいいほうだぜ。ダーク様のポケモン達への扱いを見ろよ。ぞっとするぜ。」
仲間の料理人が答えた。
「ああ、そうだな。俺たちは腹八分くらいのメシは食えるし、休む時間もある。」
もう一人の料理人がうなずいた。
ドスン!
上から大きな音が聞こえた。
「ダーク様のポケモンだ。部屋でひと暴れしている。退屈してるんだな。」
ドシン! バタン!
くわばらくわばら・・・。料理人達は縮こまった。
「バンギラス、退屈してるんだろう、おもちゃを持って来たよ。」
ダークはバンギラスの部屋にいた。部屋はとてつもなく広い。壁や床はどれだけ暴れても壊れないように出来ており、あちこちにちらっばっているぬいぐるみは、ずたずたに切り裂かれていた。
ダークは手に持っていたそれを放り投げた。それは三匹のコラッタだった。
バンギラスはコラッタ達を追い回した。もともと野生のそれほど強くないコラッタ達はバラバラに逃げた。
ダークはバンギラスの部屋を出た。まあ、あんな奴じゃ退屈しのぎにもならないだろうが。
バンギラスはコラッタ達を部屋の隅に追い詰めた。
コラッタ達は恐怖でぶるぶる震えていたが、やがて一番大きなコラッタが逃げ出した。
だがバンギラスは見た目によらず素早かった。一瞬でコラッタを鷲掴みにした!
バキッ!コラッタから鈍い音がした。
バンギラスは動かなくなったコラッタを後ろへ放り投げ、残りの二匹に狙いを定めた。
バンギラスは口から青い息を吐いた。逃げ遅れた二番目に大きなコラッタが芯まで凍りついた。
バンギラスは一番小さなコラッタの尻尾を踏んづけた。コラッタはキィと悲鳴を上げた。
コラッタは散々バンギラスにいたぶられた。殴られ、踏みつけられ、尻尾を掴まれ地面に叩きつけられ、もてあそばれた。
バンギラスは動かなくなったおもちゃを部屋の片隅に蹴飛ばすと、やがてまた退屈そうに吠えた。
ダークは屋敷中をうろついていた。さぼっているポケモンがいないか監視しているのだ。
ダークは手元に天空に住んでいるという龍が彫られている杖を持っていた。
さぼったり、力の無くなって労働の手が止まったポケモンをこれで打ちのめすのだ。
監視カメラがあるのにもかかわらず自ら出向くのはそれを楽しんでいるからだ。
ポケモン達は屋敷中を掃除したり、畑を耕して作物を育てさせたり、盗みを働かせたりさせられてた。
盗む物は食べ物や金品は勿論、ポケモンも盗ませていた。野生、ポケモントレーナーのは問わなかった。
ダークは庭園を見回りに来た。屋敷内には特にさぼっているポケモンはいなかったのだ。
バササッ。オニドリルが足に何か掴んでやってきた。
「で、今日の収穫は?」
ダークはオニドリルの持ち帰ったものを見た。
そこには、スズメ、カエル、何かの卵、熟れてない木の実、数種類の葉っぱが散乱していた。
「この馬鹿者!」
ビシッ!杖がオニドリルの頭を打った。
「貴様はこの俺を馬鹿にしているのか?この俺にこんな物を食わせる気か?いいかげんにしろ!」
ビシッ!、バシッ!さらにダークは打ちのめした。
オニドリルはよろよろと空に舞い上がっていった。
ダークが屋敷に戻った後、庭にいたポケモン達が争うようにそれを食べ始めたのに、ダークは気づかなかった。
ダークは豪華なソファーに座り、下の階で行われているポケモンバトルを観戦していた。
あっちではマンキーがラッタに蹴りを入れ、こっちではヘラクロスがカイロスを角で射抜いた。
ダークはバトルの訓練と称してポケモン達を戦わせ、それを観戦していては楽しんでいた。
「ははは、気合を入れて行け!負けた奴は今日の餌はパンくずと水一口分だけた!」
ダークは酔った勢いでさっき厨房から取ってきたビールをラッパ飲みするとそう叫んだ。
やがてバトル観戦にも飽きたダークは再びバンギラスの部屋に来た。
「バンギラス、トレーニングの時間だ。さあ、おいで。」
ダークとバンギラスは地下にあるスタジアムへと来た。ポケモンジムにも見劣りしない立派なものだった。
バンギラスが定位置に付くと、目の前の檻が開いた。
すると中からサンドパンが飛び出した。サンドパンは一直線に突っ込んで鋭い爪をバンギラスに突き立てた。
しかし、バンギラスはそれを腕で受け止めると爪をへし折り、太い尻尾でなぎ倒した。
サンドパンは動かなくなった。
「えらいぞバンギラス、ほら、ご褒美だ。」
バンギラスはバトルに勝つたびにたくさんの木の実やポロックをもらっていた。おかげでバンギラスの方は疲れ知らずである。
閉じていた檻が再び開いた。中からズバットが飛んできた。
しかし、ズバットは戦わずあちこちふらふらと飛んでいるばかりである。
バンギラスはズバットの方を向き、口を大きく開けた。
カッ!バンギラスは破壊光線を吐いた。
バシッ!破壊光線はズバットをかすめ、壁に当たると眩い光を放った。
バンギラスは破壊光線を連射した。ズバットはひらひらとかわしていたが、やがて光線に貫かれ落ちた。
次の相手はドンファンだった。しかし、ドンファンの足には足かせが付いていた。
ドカッ!バキッ!バンギラスは相手を殴り続けた。しかし、ドンファンは足かせのせいで反撃はおろか、逃げる事すら出来ない。
体の硬いドンファンも、じわじわといたぶられ崩れ落ちた。
ダークはただバンギラスを戦わせるだけではなかった。相手が素早ければ必殺技の破壊光線の的にし、頑丈ならば無駄に動けなくしてサンドバッグの代わりにされた。
しかし、次の相手はやや手ごわかった。檻から出たニドキングは一気にバンギラスを押した。
ダークは、バンギラスが形勢不利と見るや否や、ピッと指笛を吹いた。
すると、どこからともなくペルシアンが現れ、バンギラスに加勢した。
ペルシアンが爪でニドキングの角を折り、体中のトゲを引き裂きまくってる間に、バンギラスは間合いを取り空中に飛んだ。
ドカアァァン!バンギラスは地震を起こした。ニドキングとペルシアンは地面から砕けた岩に飲まれ、動かなくなった。
「さあ、トレーニングはこのくらいにしてご飯でも食べようか。」
ダークはバンギラスを呼び戻した。
「おい!誰かそのポケモン共を捨てて来い!それと明日までにそこを修理しとけ!いいな!」
小さなポケモンが十数匹がかりで二匹のポケモンを瓦礫の中から引きずり出した。
連れて来られたポケモン達への扱いはとにかくひどかった。
野生の弱いポケモンはバンギラスのおもちゃにされ、ポケモントレーナーの連れていたそこそこの強さのポケモンはトレーニングの相手にされ、それ以外の者は重労働をさせられた。
まず、ポケモン達はダークより早く起きて仕事をしなければならない。ダークは特別早起きというわけではないが、どのポケモンがいつから働いているかすぐに見抜いてしまう。ポケモン達は丸々半日休み無しで働かされる。もしダークにさぼっているのがばれれば杖で打ちのめされるのだ。その後ポケモン達はバトルの訓練に駆り出され、無理矢理戦わせる。さらにその後、やっと少しの休みが入り、また夜遅くまで働かされる。仕事が終わった後にやっと餌にありつけた。一杯の水に一切れのパン、野菜のくず、小さな木の実一個、たまに運がよければ肉のかけらがもらえたが、それでもポケモン達の飢えをしのぐことは出来なかった。外で見張りをしているポケモン以外は屋敷とは別館になっているあまり掃除の行き届いていない、石で出来た地面の硬い小屋で寝かされた。
労働で力尽きたりバンギラスに倒されたポケモンは近くの島で捨てられる。まれにさらわれたポケモンとポケモントレーナーが皮肉な再会を果たすこともあった。
「何をしてるか!貴様!」
ヒュッ!バシッ!ダークの杖がレディバを打った。
レディバが果樹園の木の実を盗み食いしたのがばれたのだ。
「最近木の実の質が落ちたのも貴様のせいだろう!?そうなんだな!」
このときダークは気づかなかった。レディバを責めることに夢中で、後ろから忍び寄る黒い影を。
ザッ!後ろからニューラがダークの頬を切った。頬から血が一滴一滴落ちた。
「な・・・!」
ニューラは労働に耐えられなくなり、ダークに反抗したのだ。
ダークはかっとなりピーッと指笛を吹いた。
ニューラが飛び掛ろうとした次の瞬間、二匹のヘルガーに腕を食いつかれ、二羽のヨルノズクがつつきまくった。
ポケモンの反乱に備えて、特別に鍛えたポケモン達だ。
「誰か鎖を持ってきてこの馬鹿者に付けろ!」
ダークが切られた右の頬を撫でて叫ぶとゴーリキーとサイドンが現れニューラの手足に鎖を絡めた。
ニューラをこれでもかというほど杖でメッタ打ちにした後、ゴーリキーとサイドンに引っ立てさせ、ダークは暗い地下の階段を下りていった。
ダーク達は暗くじめじめとしてかび臭い広い部屋に出た。その目の前には鍵の掛けられた大きな扉が八つあった。
抵抗したポケモンを収容する懲罰部屋だ。
ダークは鍵を外すとゴーリキーとサイドンにその重い扉を開けさせ、ニューラを中に放り込んだ。
中は窓も何も無く、夏でも凍えるように寒く、かび臭い。扉を閉めると真っ暗で何も見えず分厚い壁に阻まれて何も聞こえない。五感をすべて封じられ身動きの出来ないまま何も食べさせられずただじっとしているしかない。それは恐怖だった。
「せいぜい明日までに頭を冷やすがいい。無礼者め。」
ダークは扉を閉めさせると鍵をかけた。
「さて・・と。」
ダークは二つ隣の扉を開けさせた。そこには5匹ほどの傷だらけのポケモンが身を寄せ合って震えていた。皆、絶望的な目をしていた。
「この俺に忠誠を誓う奴は出て来い!」
ポケモン達は重い鎖を掛けられた手足で重い足取りで出てきた。
彼らは皆かつてトレーナーのポケモンだった。ダークの屋敷に連れてこられた時、反発して昨日からずっとここに入れられているのである。特にトレーナーのポケモンは反抗的なのが多かった。
「よし、鎖を外してやれ。」
ゴーリキーとサイドンはポケモン達の鎖を外してやった。
「水とパンを用意してある。食べるがいい。」
ポケモン達は必死で水を飲みパンを食べた。これほどまで食べ物がありがたいと思ったことは無かった。
「さて、食わせてやったからにはそれなりの働きをしてもらおう。」
ポケモン達はさっと顔を上げた。
「貴様らはこの俺に忠実に従うという条件でここから出してやったんだ。早速俺の役に立ってもらおう。貴様らに一日の有余を与える!この島から出て行き俺に役に立つ物を持って来い。ポケモンでもかまわん!もしここから逃げ出そうとしても無駄だ!」
後ろにいたヘルガーとヨルノズクが吼えた。
「こいつらがどこまでも貴様らを追い、昨日と同じ目に合わせてやる!」
ポケモン達の顔が恐怖で引きつった。
「さあ、さっさと行け!ぐずぐずするな!」
ポケモン達は逃げるようにわれ先にと階段を上がっていった。
ダークは閉じ込めていたポケモン達を開放するという一筋の希望とどこへ行っても逃げられないという絶望で洗脳していた。
ダークはとっととかび臭い大広間を出て行った。
ダークは丁寧に手当てされた右頬をさすりながら、冷えたグラスに注がれたカクテルを一口飲んだ。
あのポケモンめ、どうしてくれよう。俺はすぐには楽にはさせん。ポケモンを収容する小屋を作らせようか。餌も休みも無しに石を運ばせてやる。
見張りも付けよう。徹底的に追い込んでやる。
ダークはあれこれと考えをめぐらせていると、屋敷内内通の電話が鳴った。
「なんだ!」考えを邪魔されたダークはイライラして電話を取った。
「ダーク様!こちらに何者かが向かっています!屋敷の正面の方です!」
ダークは「ああ、分かった。」とだけ言うと電話を切った。するとダークは手に持っていたグラスを壁に叩き付けた。
ダークは興奮した。ああ、久しぶりの獲物だ!自ら俺の城に飛び込んでくる。さあ、どんな奴だ?手ごたえのある獲物だといいが。
ダークはグラスを踏みにじると部屋を飛び出した。
やれやれ、ダーク様がまた興奮していらしてる。こりゃあ後始末が大変そうだ。
ダークの横をすれ違った使用人がため息をついた。まあ、とりあえず掃除の用意だけはしておこう。
ダークの悪行がそのまま見過ごされるわけが無かった。警察や噂を聞きつけたポケモントレーナーがやってくるのだ。
だがそれもダークにとっては楽しい余興だった。相手をどうねじ伏せようか考え、自分の目の前で散ってゆく者達を見るのは快感だった。
事実、この要塞を落とせた者はいないのだ。
ダークは展望台に備え付けてある望遠鏡を覗いた。確かに誰かがポケモンに乗ってやってくる。影は段々大きくなった。
ダークは望遠鏡の倍率を上げた。影の正体がはっきり見えた。
それはダークと同じくらいの年の少年だった。黄色と黒の帽子とズボンにオレンジの服を着ている。
俺は誰にだって容赦しない!徹底的に行かせてもらうぜ!
「嵐を起こせ!荒波を立てろ!雷を鳴らせ!」
ダークが叫ぶとたちまち黒い雲に覆われ、雨が叩きつけ、荒波が起き、雷鳴が轟いた。
だが少年を乗せたポケモンの速度は落ちない。
こいつは面白くなってきた。あれを試す機会が来たのだ!
ダークは一目散に下に下りていった。
ダークは地下洞の明かりをつけた。そこは檻の隙間から荒波が押し寄せる場所だった。
バン!巨大な尻尾が檻を叩き付けた。バン!バン!尻尾は岩壁にも叩き付けた。
巨大な尻尾の主が姿を見せた。巨大で、凶暴なギャラドスだ。
こいつを使う時が来たか。荒波で鍛えられたこいつに奴はどう立ち向かう?
ダークは獲物を探す瞳を見て笑みを浮かべると壁にあるレバーを引いた。
ギギギギギ・・・。陰鬱な音を立てて檻が上へ上がった。ギャラドスは一直線に荒れた海に向かって泳いでいった。
ダークは急いで階段を駆け上っていった。さあ、どうなるか見ものだ。急がねば!
ダークが展望台にたどり着いた時にはすでに戦闘は始まっていた。
ギャラドスは少年に牙を向けた。しかし、少年のポケモンが素早く動き、大きな牙から逃れ続けた。
少年はポケモンを出したらしい。大きな炎が舞い上がるのが見えた。
悪天候の中死闘は続いた。ギャラドスはガチガチと牙を鳴らし尾を振り回した。しかしまともに当たろうものならひとたまりも無いであろうその攻撃も、機敏に動く波乗りポケモンによってむなしく空を切った。
ギャラドスが刃の様な物に牙や鱗を切り裂かれ、苦しみのあまり口を開けた瞬間、眩しい光が辺りを包んだ。光が消えた時にはすでにギャラドスの動きは止まり、ゆっくりと海へと崩れ落ちた。
ダークの絶対の自信作、ギャラドスは敗れたのだ。
あのギャラドスが!何艘もの船を沈めたあいつが、敗れるとは!
その時ダークの興奮は最高潮に達していた。かつてここまでのポケモンの腕を持つ者はいなかった。
ここで見ているだけでは惜しい!その顔自ら拝みに行こうではないか!
ダークはもうギャラドスのことなど忘れ、隣の部屋へ駆けつけた。
そこには鎖で繋がれた首輪を付けられ、鉄で出来た口輪をつけられたリザードンがいた。リザードンはダークが興奮して入ってきても感心一つしめさなかった。いちいち興味を持たなくてもいい、ただダークの命令にしたがっていればいいのだ。リザードンはそれを知っていた。
ダークは急いで首輪と口輪を外し、背にまたがった。ダークが「飛べ!」と合図する頃にはもうリザードンは展望台から空へ舞い上がっていた。
大雨と強風で体が濡れても物ともせずダークは少年を探した。雨でリザードンの体から白い煙がくすぶった。
ダークは少年を見つけた。見張りのポケモンを蹴散らし、森を抜けて屋敷の方へ向かっている。
「降りろ!」リザードンは降下し、ダークは少年の顔を見た。
あれだけの戦いにも顔色一つ変えない、真っ直ぐな目をした少年だった。
やはり、俺はああいう顔をした奴は嫌いだ。弱いくせに簡単に正義の味方ぶるからな。
ダークはリザードンを急上昇させ、火の玉を5発ほど発射させた。
火の玉は少年の手前で弾けた。
「ははは、挨拶がわりにくれてやったぞ!仕返ししたければ俺の城まで来い!来れるものならな!」
少年も何か叫んでいるがダークにはもう声の届く距離ではなかった。
と、突然
ドカアアアアァァァァン!
少年の目の前で爆発が起きた。少年は後ずさりした。
この辺一帯には大爆発をするゴローンが埋まっていた。さっきの火の玉は攻撃でも、威嚇でもなく、誘爆させるためだった。
ドドドド・・・。何か凄まじい音が聞こえてきた。
土砂崩れだ!大雨で地盤が緩んでいたのだ。さっきの爆発はこれを引き起こすためだった。
少年はあっという間に飲み込まれてしまった。
「あっけなかったな。」
ダークは屋敷の方へ引き返した。
雨も、風も、波もおだやかになっていた。
だがダークの屋敷の前は物々しい雰囲気に包まれていた。
バンギラスを初め、戦闘用のポケモンが門の前に集まっていた。
ダークは腕組みをしながら待っていた、あの少年を。
そして少年は来た。どうやら片足を負傷したらしい。足を引きずりながらやって来た。
「ようこそ、我が城へ。」ダークが表情を変えずに言った。
「お前だな!皆のポケモンをさらっていった奴は!」少年は力強く言った。
「だとしたら?」ダークはニヤリと笑った。
「お前と戦い、ポケモン達を取り戻す!」
少年はモンスターボールを2つ構えて投げた。中からマグマラシとベイリーフが飛び出した!
「行け!」ダークが合図するとヘルガー、ヨルノズク、ゴーリキー、サイドンが飛び掛ってきた。
少年のポケモン達のコンビネーションは凄かった。
ベイリーフが葉っぱカッターで敵をまんべんなく切り付け、その後ろからマグマラシが火炎放射を浴びせた。
残ったポケモンは力技で押した。死闘はしばらく続いた。
最後にゴーリキーが倒れ、決着は付いた。
と、思った所に二匹の真上から巨大な岩が次々と降ってきた。
「!!!」
二匹は岩の下敷きになり動かなくなった。
少年は二匹をモンスターボールに戻した。
「まだ終わったなんて思われちゃこまる。さあバンギラス、出番だ。」
さっきの岩雪崩れはバンギラスが起こしたものだった。
「こっちだってまだ終わりじゃない!行け、オーダイル!」
「グオオォォ!」
中からオーダイルが飛び出した。バンギラスに見劣りしないほど立派だった。
二匹の争いはさらに凄まじいものだった。オーダイルがバンギラスを殴れば、バンギラスも殴って返し、オーダイルが噛み付けばバンギラスは尻尾でなぎ倒した。
少年は力技ではらちがあかないと思ったのか、オーダイルをバンギラスから離れさせた。
「今だ!行け!」
オーダイルは破壊光線を発射した。先ほどのギャラドスを倒したのもこの光だった。
破壊の光がバンギラスを包み込んだ。
バシッ!破壊光線はバンギラスに直撃した。少年は手ごたえを感じた。
しかし、ダークは笑っていた。とてつもなく冷酷な笑いを。
「!?」
少年の目に衝撃的な光景が飛び込んできた。なんとバンギラスはヘルガーの首を掴み、盾にしたのだ!
「な、なんてことを・・・。」
少年は唖然としていて気づかなかった。バンギラスが次の攻撃に備えていることを。
バンギラスはヘルガーを放り投げたと同時に冷凍ビームを発射させた。氷がオーダイルの手足に凍りついた。
動けないオーダイルに向かってバンギラスは容赦なく襲った。
顔を殴りつけたり、岩をぶつけたり、爪で切り裂いたり、傷口を尻尾で打ちつけたりした。
「やめてくれ・・・たのむ、やめてくれ!」
オーダイルの痛々しい姿を見かねた少年はオオタチを出した。
レベルも低く戦力にはならないだろうと出さなかったが、今はどんなことでもしてでもこの状況をどうにかしたかった。
しかし、オオタチはバンギラスに踏みつけられ、希望は無くなった。
バンギラスはとどめに破壊光線を発射させた。光線はオーダイルにまとわりついていた氷ごと吹き飛ばした。
オーダイルとオオタチはボールに戻った。
悔しいが逃げるしかなかった。少年はダークに背を向けて走り出した。
だが、後ろから凄い勢いで石が飛んできて少年の腰に付いていたモンスターボールを3つ破壊した。
中からは、動けなくなったオーダイル、ベイリーフ、マグマラシが出て来た。
「何をするんだ!」少年は足を止めた。
「このまま逃げられるわけにはいかないんだよ。負けたトレーナーは自分のポケモンをこの俺に差し出す。それがこの島のルールだ。ああ、残りのポケモンは弱くて使い物にならないだろうから貴様に返してやる。」
ダークは勝ち誇った顔で言った。この島ではダークが法律なのだ。
「ふざけるな!」
少年か駆け寄ろうとした瞬間、茂みから現れたワタッコが眠り粉を吹き出した。
「そ・んな・・・。」
少年はその場で倒れた。
「誰かそいつを島から放り出せ!」
どこからかニドクインが現れ、少年を引きずっていった。
安心しろ、貴様のポケモン共はこの俺が存分にかわいがってやる。
ダークは引きずられていった少年を見送ると冷酷な笑いを浮かべた。
人間、悪だくみを考えると頭の回転が良くなる、とはよく言ったものです。
ポケモン好きから見ればひどい作品ですし、この手のジャンルが好きな人には物足りないだろうという中途半端な作品ですが
私自身は楽しんで書きました。
一つ言って起きますが、私はポケモンがいい意味で大好きです。
たまたまちょうどいい題材がポケモンであったというだけで。
そこらへんは分かってもらえるとありがたいです。
時間があったら続編も書きたいなぁ。